筋膜リリースとストレッチが痛みに効く理由
薬局というと、どのようなときに利用するであろうか。
「病気になって薬が欲しいとき」というのがほとんどだと思われる。
だが、病気といってもその程度の差はかなりある。
私が勤めている薬局は、オフィスビルの中のクリニックの門前で、
風邪や関節の痛み、不眠、高血圧、糖尿病など多岐にわたる。
その中でも、圧倒的に多いのが、「体の痛み」である。
長年、関節が痛むので、ずっと痛み止めを飲んでいるというおじいちゃん。
徹夜続きで、肩コリに悩まされてる若いビジネスパーソン。
出張が多く、長時間の座位で腰に爆弾を抱えた管理職の男性。
彼ら、彼女らにとって鎮痛薬は、手軽に痛みがとれる救世主だ。
だが、もし、薬を使うことなく痛みがラクになったら、そっちのほうがずっと良いではないだろうか。
鎮痛薬に限らず、クスリは作用と副作用が裏表の関係にあるのは周知のことだろう。
薬を飲む前に、ぜひ試してほしいことがある。
それは筋膜リリース、ストレッチだ。
痛みの原因の多くが冷えによる筋肉の硬化、血行不良である。
仕事中でも、気づいたときに、手を組んで伸びをするだけで、肩の筋肉が緩められ、緊張が解ける。家に帰ったら、テニスボールをゆっくりと、肩甲骨、腰の筋肉に沿わせながら、自重で負荷をかけてみてほしい。さらに、夏場はエアコンで思った以上に体が冷えているため、ぬるめの湯船につかるとベストだ。
私自身、かつて製薬会社の営業で車で外回りをしていた頃、尋常じゃない肩こりに悩まされた。その当時、20年近く続けていたバレエにも行けておらず、運動習慣がなくなっていた。肌荒れもひどくなり、寝ても疲れが取れない日々を送っていた。
体をメンテナンスしなければと、レッスン前のウォーミングアップでやっていた筋膜リリースとストレッチを始めたところ、まず肌荒れが薄くなり、寝つきがよくなった。血流がよくなったことで肩こりが軽くなった。おまけに、入社後5キロ増えた体重が減った。これはバレエをまた始めたこともあると思うが。
肩こりや腰痛がない人でも、柔軟性はケガの防止や疲れにくい体を維持するために必要だ。
ぜひ、「(クスリを)飲む前に、伸びる」を実践してみてほしい。